黒い服を着るとハチに刺されやすいってホント?
ハチが出そうな場所で黒い服を着ていると襲われる、こんな話を耳にしたことはありませんか?ハチは色を識別できるのか、できるとしたらなぜ黒色をめがけて襲うのか疑問に思うかもしれません。本当にハチは黒い服を着ている人を襲うのか、それはハチの生態について知ることで明らかになるでしょう。
黒い服は狙われやすいってホント?
黒い服はハチに狙われやすいのか?それを「はい」「いいえ」ではっきりと答えを出すことは難しいようです。確かに、黒い服や黒いものを身に着けていることでハチに狙われることはあるようです。
しかし、黒に限らず濃い色なら同じようにハチが狙ってきたり、濃い色でなくてもハチが襲ってくることもあるのです。
黒い色がハチを刺激するわけではない
ハチは黒い色を「黒」と認識して狙ってくるわけではありません。実は、ハチは人間のようにはっきりと色を見分けることができず、色彩感覚が優れているわけではないようです。
黒い色がハチを刺激するわけではなく、色は関係なしに敵であり攻撃しなければならない相手だと認識した時に、そのターゲットとして色の濃い部分を狙ってくるといわれています。つまり、ハチを刺激し襲うように仕向けているのは、その色ではなく敵だと認識されてしまうような行動ということになります。
色はどのように見えている?
ハチは色を認識する能力が優れているわけではないと説明しましたが、色についてどの程度判別できるのか、ミツバチとスズメバチを例に挙げ説明していきましょう。
▪ミツバチ
ミツバチが見分けられる色は、白・黄・青・黒・青緑、それに紫外線もあります。さまざまな色を見分けることができるのに、三原色のひとつである赤は認識できないといいます。赤い色は、ミツバチが見ると黒やグレーに見えるそうですが、人が見ることができない紫外線に関しては、はっきりと見分ける能力を持っています。
▪スズメバチ
スズメバチはミツバチのように複数の色を見分けることができません。スズメバチがわかるのは色の明るさの差、白黒のコントラストでものを見ています。色がどんな色かに関わらず、濃い色なら黒として映り、薄い色なら白に映っているのです。
黒など濃い色はなぜターゲットになるのか?
ハチが針を刺そうとターゲットにするのが濃い色の部分と言われますが、その理由は「敵となる相手の急所が目や鼻といった黒い色をしている部分だから」という説があります。また、ハチを襲う天敵としてクマがいますが、クマは身体が黒いことから黒色がターゲットになるという説もあります。
刺すハチと刺さないハチがいる
ハチだからといって、すべて危険だとは限りません。ハチの針は産卵管として使っているもの、あるいは産卵管であったものが変化したもので、産卵管としてのみ使っている針の場合は、自分から人や動物を刺して危害を加えることはありません。たとえば、ジガバチやドロバチなどのカリバチや、コハナバチやクマバチなどのハナバチは、自分から人や動物に攻撃を仕掛け刺すようなことはありません。
ただ、急につかんだりするとハチも身の危険を感じて刺してくることがあります。とっさの反応で刺してくるわけですが、ハチの種類によっては刺されると痛みを感じたり腫れることもあるので注意が必要です。
危険な刺すハチについて
刺すハチといえば、もっとも危険とされるスズメバチや、刺されると痛みを強く感じるというアシナガバチ、ミツバチなどが挙げられます。これらのハチは社会性を持っており、自分の巣や同じ巣に所属する仲間に対し危害を加えようとする存在が現れると、守ろうとして刺すという行動に出ます。ハチが刺すのはちゃんとした理由があり、刺すのも命がけなので、むやみに襲ってくることはありません。
ハチにとって脅威になると攻撃される
ハチが攻撃してくる理由は、ハチにとって脅威になるものがあるからだと説明しましたが、その脅威にはどんなものがあるのでしょうか。
巣に近づく
ハチは自分の巣や仲間を守ろうとする生き物です。巣が攻撃されないように常に注意を払っており、巣に近づくものがあれば攻撃しようとします。
巣を攻撃される
ハチの巣には美味しいはちみつや、栄養価の高いハチの幼虫が詰まっています。クマはそのようなハチの巣を襲って食べようとしますし、人間も同じような目的でハチの巣を壊したり持ち去ったりします。もちろん、このような事態になればハチも敵に対し総攻撃を仕掛けます。
ハチを刺激する
ハチやハチの巣に危害を加えるつもりはなくても、思わぬ行動が刺激となり攻撃されることもあります。近付いてきたハチを手や物で振り払おうとする行動もそうですが、香水や衣類の柔軟剤もハチを刺激することがあります。ハチが発する警報フェロモンの主成分は、香水や柔軟剤、食品や飲料などにも含まれているため、それらの香りがする人間は攻撃の対象となってしまいます。
ハチの餌場に近づく
ハチは巣にいる仲間や幼虫のために、せっせと餌を集め持ち帰ります。餌が届けられなければ餓死してしまうので、餌集めは必死に行いますし横取りされそうになったら攻撃も仕掛けてきます。ハチの巣に近づくのを避けるだけでなく、餌場となっている場所に近づくのもNG、故意ではなくてもハチが餌場で活動しているのを邪魔してはいけません。
ハチは黒い服を着ているからといって、むやみに襲ってくるわけではありません。ハチを刺激するような行動をとり、ハチにとって脅威だと認識されれば服の色に関わらず襲われてしまう恐れがあります。ただ、黒い色はハチが攻撃するターゲットになることから、黒い服や帽子などは避けた方がベストです。ハチの生態を知り、ハチの脅威にならないよう慎重に行動してください。